fc2ブログ

とっさに声が出るということ

10月もはや下旬になって、急に肌寒い日があるようになりました。暑さと寒さが激しく交錯して風をひく人が多くなってきています。私も夏の疲れが取れないうちに秋の繁忙期に入ってしまいいささかバテ気味です。コラムもなかなか書けなくてすみません。
でも気になる出来事がありました。いつも事件?は通勤の途中に起こります。

その日も疲れた身体を引きずって帰る電車の中、子供を抱いた若いお母さんがやはり疲れた顔をして立っていました。突然ガタンと電車が揺れ、お母さんに抱かれた子供の足からサンダルが脱げて落ちました。

転がってきたサンダルを拾って渡すとお母さんは「アッ」と言ってひったくるようにサンダルを取りました。女の子は「ありがーー」と笑顔で言ってお母さんの顔を見たとたん「うぅーー」と小さな声になって下を向いてしまいました。

女の子の嬉しさも、感謝の素直な気持ちも、共有できなかったお母さん。サンダルを落とした子供への非難だけがあって、拾ってもらったことへのお礼の気持ちが持てなかったお母さん。
ちゃんとお礼を言えた小さな女の子の心の芽を摘んでしまったお母さんの態度に、私はとても残念な、切ない気持ちになりました。女の子がかわいそうに思えました。

きっとお母さんは疲れていて心に余裕がなかったのだろうと思います。でもお母さんが一言「ありがとうございます」と言えたら、子供はどんなに嬉しかったでしょうか!そしてどんなにお母さんを誇らしく思ったことでしょうか!

とっさに声が出るということは大切なことです。お母さんの何気ない態度が、子供の成長に、子供の価値観に大きな影響を与えるということを是非忘れないで頂きたいと思います。



2005.10.21初出
スポンサーサイト



■ Comment

非公開コメント

休講のお知らせ
2022年2/23(水)笹塚教室は
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
プロフィール

彩声

Author:彩声
宮崎絢子


株式会社 彩声
代表取締役社長

ボイスコンサルタント

元テレビ東京アナウンサー。
現役時代は報道番組の司会やプロデューサーとしても活躍。
定年退職後、ミヤザキ式ボイストレーニングを構築し、2000年に教室をオープン。
広く、声の重要性を伝えるために活動中。

リンク
更新通知登録ボタン

更新通知で新しい記事をいち早くお届けします

ブログ内検索
RSSフィード