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言葉は文化

 今年も6月から台風がやってきました。明らかに地球のサイクルは変わってきていますね。梅雨の時期はじめじめと蒸し暑くてなんともすごしにくい日が続くのですが、それでも見方を変えれば、雨にぬれて緑がつややかになっていくさまもなかなか良いものだと思います。心も少ししっとりと落ち着くようなときになれば良いですね。

 このところ気になっているのは、またまた駅と車内のアナウンスです。駅のアナウンスは毎日毎日聞くものですし、電車の車内アナウンスも毎日何回も聞くものですから、喋っているほうの当人が思っているよりもはるかに多くの人々に、思いもかけない影響を与えているものです。そう考えればラジオのアナウンサー並みの訓練が必要だと思いますが、JRや鉄道各社はどのような訓練をしているのでしょうか?

 車掌さんの車内アナウンスを聞いて電車に乗っていた男子学生(大学生と思われる)3人が話しているのが聞こえました。
「何であんな変なしゃべりかたをするのかなあー」
「結構インパクトがあるようにわざとやってんじゃないの」
「でもなんかきもちわるいよなあー」
―――そのときのアナウンスは音が再現できませんので上手く伝わらないと思いますが、なんとも癖のある気持ちの悪い声としゃべり方だったのです。
本人はきっと工夫をしたつもりでちょっと気どって喋っていたのかもしれませんが。

 わたしも、その声をもう聞かなくてもいいように、はやく電車を降りたいという気持ちでいっぱいでした。自分は一生懸命にやっているのに、乗客を不快にさせたり、いらいらさせてしまっているのはまずいことだと思います。そのことに気がつけば、声の出し方も、しゃべり方も、心地よいものに変えられるのです。やはり他人に聞かせるということをもっと大切に考えて欲しいものです。乗客を安心させられるということは、安全を守るのにも欠かせない要件です。

 もうひとつ、駅に流れているプロのアナウンサーのテープの音声にも問題があります。
わたしが通勤しているJR東日本の京浜東北線や宇都宮線の駅に流れているテープは、「普通列車」が「くつう」と聞こえるのです。これは「フ」という音を出すときの唇の形が問題なのです。ことばのはじめの音が出しにくい状態になっている人が増えているように思います。たとえば「おはようございます」というとき、最初の「お」の音が出ずに「はようございます」といっている人が多いのに気づきませんか?
よく気をつけて聞いてみてください。

 プロでも発音が出来なくなっているということは、日本語が雑になってしまっているということだと思います。言葉は文化です。日本の文化を根底から見つめなおすことは、アジアのなかの日本を、わたしたちの生き方を見つめなおすことにもなるでしょう。自分たちの文化を大切にすることは、他の国の文化も大切にすることです。

 良い声を出して、良い関係を築くようお互いに努めましょう。

 
2005.6.7初出
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プロフィール

彩声

Author:彩声
宮崎絢子


株式会社 彩声
代表取締役社長

ボイスコンサルタント

元テレビ東京アナウンサー。
現役時代は報道番組の司会やプロデューサーとしても活躍。
定年退職後、ミヤザキ式ボイストレーニングを構築し、2000年に教室をオープン。
広く、声の重要性を伝えるために活動中。

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