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春風大声

 いっきに満開になった桜ももう散って、若緑の小さな葉っぱが開き始めました。これからまわりは新緑の季節へと移ってゆきます。

 春は、ものみなのびやかに身体を伸ばす季節。私たちも、思いっきり身体を伸ばして新鮮な空気を胸の中に取り入れましょう。でも残念なことにこのよい季節が花粉症に悩まされる季節なのですね。出来るだけ少ししか息を吸わないで、身を潜めている人もたくさんいます。自然が怒って人間に報復しているのではないか、ということを言う人もいますが、元は人間の勝手が招いた事態なのですから、やはり人災なのですね。

 それでもやはりこの季節に身体を伸ばし、柔軟にしておかないと、この先身体のバランスが良く保てないのです。自然の中で生きている人間は、この自然のリズムに上手に合わせ、この季節に生命力をたっぷりと体内に取り込んでおかねばならないのです。

 身体を伸ばすと声ものびやかに出てきます。声がのびやかに出てくると、身体の細胞が喜んで、生き生きと反応してきます。まさに全身が活性化されてゆくのです。

 草も木も、ものみな伸びてゆく季節に自然の中で大きな声を出すのはとても気持ちのいいものです。しかし、大きな声を出すというと、ほとんどの人は気持ちの悪い声を思い浮かべます。不快な声を出して大声で怒鳴る、その声を想像するからではないでしょうか。そして本当に不快な声を出す人が多いのも事実です。「思いっきり声を出す」というと、お腹の底に溜まっていた不愉快な思いやストレスを、一気に吐き出そうとして、身体をゆがめて大声を出すのです。だからとてもいやな声が出てしまいます。出した本人もますます不快感が募り、聞いた人もとてもいやな気持ちになって、その人のそばに近寄りたくなくなるのです。だからみんな大声が嫌いになります。大きな声は出すものじゃあないなあと思うのです。
 お向かいの人に向かって大音量で音楽をかけたり、罵声を浴びせていた人が逮捕されましたが、テレビで聞いたあの人の声は、本当にまさに罵声、実に不快な声でした。あんな声で人にものを言ったら自分はどんどんいやな人間になっていってしまいます。本当に聞いてもらいたいことがあっても絶対に聞いてもらえないでしょう。自分で自分をいやな人間にしてしまっていることを分かって欲しいと思います。

 のびのびと身体を伸ばして、心地よく声を出せば、その心地よい声が自分を清めてくれるのです。そのとき、ストレスがスーと消えてゆきます。人を傷つけることなく、自分自身をも傷つけることなく、心がそして身体も、やわらかくなるのです。そしてはじめてよいコミュニケーションが生まれます。私たちは毎日多くの人とかかわって生きています。よい声でよいコミュニケーションをすることは人生を楽しく豊かにしてくれます。ちょっと自分の声に気をつけて、気持ちのよい声を出すよう心がけて欲しいものです。

 
2005.4.17初出
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プロフィール

彩声

Author:彩声
宮崎絢子


株式会社 彩声
代表取締役社長

ボイスコンサルタント

元テレビ東京アナウンサー。
現役時代は報道番組の司会やプロデューサーとしても活躍。
定年退職後、ミヤザキ式ボイストレーニングを構築し、2000年に教室をオープン。
広く、声の重要性を伝えるために活動中。

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