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5月から6月へ

4月からいろいろと忙しく、すっかりご無沙汰してしまいました。すみません。

今年は地球温暖化の影響でか、さわやかな5月の風に気持ちよく髪をなびかせるという日は少なく、強い雨や強い風の吹く荒々しい日が多く、電車の事故も多く、また息も止まるような不気味な犯罪も多発して、巷に不安な空気が蔓延しています。

毎日の通勤電車でも、私の気のせいでしょうか?いかにも不機嫌な顔をしている人が多いように感じます。それも若い男性や若い女性に今にも切れそうな人たちが多くなったような気がしてなりません。なぜなのでしょうか?

中学高校生は青春の真っ盛り!黙っていてもはちきれんばかりの若さで周りを圧倒する存在でしょうが、このごろは溌剌と言う言葉が忘れられるほど、つまり溌剌とした存在に感じられないのです。不気味な不機嫌のかたまりのようです。一体どうしてしまったのでしょうか?

勿論急にそうなった訳ではないでしょう。小さいときからの暮らし方の影響で、普通に真面目に生きてきたにもかかわらず、どこか疲れたような、身体をゆがめて引きずって歩いている、生命力やパワーが不足してしまった若者が多くなっているのではないでしょうか?
一体若者からパワーを奪っているのは、何なのでしょうか?!

ちょっと極論のように聞こえると思いますが、これはネット社会のマイナスの面だと思います。
幼年から少年少女の時期に全身を使って駆け回って遊び、身体全体で喜びを表現し、悲しみを味わい、温かさも冷たさも痛さも体験し、力をあわせる楽しさや頑張る喜びもしっかり味わうことが五体満足な成長を促すのです。

そして満足するためには身体中を使って声を出すという行為がその中に必ず含まれているということが重要なのです。声を出すことは生命力を喚起させます。

声を出すことによって自分の内部から力を引き出し、他人と共鳴し、同じ喜びを味わうという一体感を持つことが出来るのです。いまの若者にこういった経験が少ないということが問題です。
そこを何とか回復させなければなりません。
ボイストレーニングはその一助となるものと信じてわたしは今頑張っています。

皆さんも是非、自分の未来のために、人生を明るいものとしてゆくためにも、声を出してみてください。

 
2007.5.21初出
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よい声は活力の源

今年の暖冬は例年の暖冬とはかなり違って暖かさが例年の常識を飛び越えています。
暖かいから過ごしやすいかといえば、そうでもなく、身体は例年のように寒さに適応しようとし、でも適応できず、なんとなく不安定な感じです。結構体調を崩している人も多く、春の喜びが感じられません。

いよいよ花粉の飛ぶ季節にもなり、頭がぼぉーとし、からだが重い日々になってきました。自然を壊せば結果的には私たちの生存が脅かされることになる、ということはずいぶん前から色々言われてきていますから分かったような気がしている人も多いと思いますが、実際に自分たちの生活を変えることはなかなか出来ないものですね。ただただ楽をするのも、便利さを追求するのも、ほどほどにしなければなりません。

人間は生物であり、動物です。自分がサイボーグでもなく、人形でもなく、血の通った人間であることを現実に捉えられない子ども(大人もかも)たちが出現してきていることをとても心配しています。
「声を出す」ということは、動物が持っている根源的な能力です。

「良く声を出す」ことは、自分がいきものとして生きているということを確認することなのです。気持ちよく声を出すことを忘れてはなりません。自分から気持ちよく声をかけ、相手から気持ちのよい声で返事をもらうことが人間生活の、活力の源です。

豊かな自然の中で暮らしてきた日本人は、もともと良く透るきれいな声を持っていたと思われます。自然が豊かで変化にとみ、その自然の音がいずれもとてもきれいだったからです。透き通った水の音、風にそよぐ木々の音、澄んだ空気の中を貫く鳥の声、集く虫の音、川の流れの音、海の波の音もみんな豊かに人の身体や心に響いて、人々は自然の中に自分の声も溶け込ませていきました。そしてこれらの音を言葉の中に取り込んでいったのではないでしょうか。

日本語の持つ母音の音は、自然の音とよく共鳴するように出来ています。古代の人々は、自然の中でおおらかに語り合って心を通わせていたのではないでしょうか。

残念ながら現代の都会生活は、豊かな自然の音を失っています。そのうえわたしたちの日々の暮らしの中には、心地良くない騒音があふれています。車の音、オートバイの音、工事の音、電車の音、冷蔵庫の音、エアコンの音、などなど数え上げればきりの無いほど不快な音にかこまれています。そこに気持ちのよい人間の声が無ければ、心安らかに暮らすことが出来ないのです。

気持ちのよい声を出すということは、本当に大切なことです。
日々、気持ちのよい声を聞き、気持ちのよい声を出していたら、他人を虐待したり、いじめたりしたくならないはずです。

自分が元気でいられるためにも、気持ちのよい声を出すように心がけましょう!


2007.2.16初出

しっかり声を出して

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

いよいよ2007年がスタートしました。  
「今年の冬は暖かいですねー」巷に行き交う人々の会話です。時々寒い日もあり、北の国では吹雪が荒れ狂ったりもしているのですが、寒さは長続きせず、雪も少なく、あたたかい日が多いのです。なんとなく不安定な冬です。熊も冬眠できないようです。氷河はどんどん後退し、北極の氷も溶け出しています。

地球温暖化は、すべての生き物に予断をゆるさない緊張感を与えています。
私たちは、地球上の命(私たちの生活も含めて)を護るために、便利と経済性、効率ばかりを求めている生き方を考え直さなければならないときに来ています。それも緊急に!です。

こんなとき、爆弾を使って土地を破壊し、植物や動物を死に至らしめ、人間を殺し、生活を破壊するおろかな行為をやめようとしない大国の大統領がいます。やめないばかりか、さらに拡大しようとしています。そしてその路線に率先して乗っていこうとしている私たちの国の政治状況にも私たちは危機感を持っています。政治は、一体何のためにあるのでしょうか?  

本来政治は、より多くの人々がよりよく生きていけるために、力をあわせてそのシステムやその道をつけるために行われるものではないでしょうか。力のあるものが力を出して弱いものを助けるのが、その精神だと思います。安部総理大臣も言葉の上ではそれを否定してはいません。

しかし実態はどうでしょうか?「きみぃ!人生とは弱肉強食なんだよ!」かつて先輩の某氏から投げつけられた言葉が周りで踊っているような現実です。
弱いものいじめは、あらゆる場で横行しています。学校の専売特許ではありません。だからこそ、子どもの世界にそれが如実に現れてきているのでしょう。

「金さえ儲かれば人の命なんて!」と企業のモラルも地に落ちています。いまやモラルという言葉も死語にちかいですね。

でも私たちは自分の出来るところでちゃんと立つことが大切だと思います。
しっかり自分の足で立って、しっかり声を出して、心ある人々とつながって、現状を好いほうに変えていく必要があると思います。

当面は戦争をする国にしないこと。憲法九条を変えさせないように是非皆さんも力を発揮してください。  
今年は選挙の年です。よーく考えて、よろしくお願い致します。


2007.1.17初出

楽しかった本栖湖合宿

早や11月も半ばを過ぎ冬の到来を告げていますが、天気はとても変わりやすく、20度にもなる暑い日があったかと思うと、急に冷たい北風が吹いて震えるような日があったりして、やはり地球温暖化の影響は深刻さの度合いを深めているようです。

10月はいろんな行事があってコラムが書けないまま日が過ぎてしまい申し訳ありませんでした。

10月7,8,9と2泊3日本栖湖で教室の合宿が行われました。参加はのべ21名。良い天気にも恵まれてにぎやかで真剣な楽しい合宿となりました。その様子をちょっとご紹介いたします。

台風の影響で大雨と強い風が吹き荒れたあとの10月7日、心配された天候の回復も早く、朝から空は晴れ渡り少し風が強く感じられたものの、気持ちのよい天気になりました。本栖湖畔はまだ紅葉には早かったのですが、深みのある青色をした湖の色がとてもきれいで、心が洗われるようでした。

早朝6時半から朝錬、冷たい空気と緑の木々に囲まれた自然の中での体操と発声はとても気持ちが良く、朝ごはんが美味しくて、お替りしている人が沢山いました。夜は9時過ぎまでスピーチレッスンや群読の練習とかなりきついスケジュールでしたが、みんな元気いっぱい、嬉嬉として練習に励んでいました。最終日はグループに分かれて詩の朗読を群読で挑戦しました。

短い練習期間だったにもかかわらず、みんなの気持ちがまとまって、それぞれとても味わいのある詩の世界を表現できていました。力をあわせるといろんなことが出来るのだなあと、私もちょっと感動しました。

本栖湖合宿2


本栖湖合宿1


2006.11.26初出

遠くまで飛ぶ声

 九月に入ってもいっこうに涼しくならない今年の天候です。
いささか夏の疲れが出てきていますが、皆様は大丈夫でしょうか?風邪を引いている人も多く、暑いのに急に明け方に気温が下がったりすると、喉をいためやすくなります。どうぞ気をつけてください。
 
 声についての色々な発見は、尽きることなく、飽きることなく現れてきます。
最近お教室で、「声を届ける」という練習をしました。少しはなれた人に声を届けようとすると、多くの人が頑張って力を入れます。どこに力が入るかと言うと、声がちゃんと飛ぶ人は、お腹に力が入っていますが、頑張れば頑張るほど声が飛ばなくなる人の場合は、胸や肩に力が入っているのです。

 下腹部に力を入れて出す声は、上に向かい、弧を描いて飛んでゆきますが、肩に力が入ると声を下に投げ落とすようになり、すぐに下に落ちてしまいます。近くの人には大きな声に聞こえますが、ちょっとはなれた人にはよく内容が聞き取れません。胸に力が入ってしまうと声を押さえてしまうので、これも遠くに飛べずに途中で声が落ちてしまうのです。

 透る声と言うのは、遠くまで飛ぶ声です。遠くまで声を飛ばすためには、息を飛ばさなければなりません。やはり呼吸が大切なのです。最近マスコミでも「腹式呼吸」が健康を維持し、ダイエットにも効果があって、ナイスボデイを創るのにも非常に有効であることが取りざたされていますが、そのとおりだと思います。

 腹式呼吸とひとことでいっても実は指導の仕方が様々です。身体が反応するためには、正しく、くり返し練習しなければなりません。

 昔の人は、日常生活のなかで、身体を使い、力を出し、大きな声もちゃんと出していましたので、腹式呼吸はいつのまにか身についていましたが、現代人は力仕事をほとんどしなくなり、日々の暮らしの中で大きな声が必要なくなってしまったので、呼吸の能力も落ちてしまったのです。

 呼吸をする練習をしなければならないなんて、人間にとって生きる力の根本に係わる危機が来ているのかも知れません。これはゆゆしき問題です。

   
2006.9.11初出

背筋を伸ばして、ちゃんと声を出そう

 今年の夏も猛暑が続いている。ここ数年異常気象といわれ続け、地球温暖化の影響だということも明白になりつつある。今年の気象状況、災害の実情を見れば、もう世界中の誰もがそのことを自分の身体で実感しているのではないだろうか。

 しかしその異常を頑として認めないやからもいる。異常をくい止めるべく対策を講ずることをかたくなに拒否する勢力も在る。怖いのは、異常が日常になると、普通が分からなくなってくるということだ。

 異常なのは気象だけではない。私たちの日常に起こっている様々な現象がとてもおかしくなってきている。異常が普通になると普通が異常に見えてくるのも、長い歴史の示す事実である。

 あの9.11以来、アメリカは、戦争を仕掛けることが普通になってしまった。それも一方的に「正義」の御旗をうちたてて、他国へ侵攻し、ほぼ無差別に一般人を殺戮しまくるという状況が日常になってしまっている。あのアフガニスタンでもイラクでも今でも戦闘は続いている。状況は少しも良くなっていない。そして今又イスラエルのレバノン侵攻が激しさを増し、多くの一般人たちが殺されていることをわたしたちは心を痛めながらなすすべも無く見ている。

 国連の人権委員会がこの問題を討議するとのことだが、大国アメリカがイスラエルに停戦を呼びかけることに反対しているということで、国連の決議の有効性が懸念されている。

 この夏は、暑い夏である。あの暑い敗戦の日を思い出させる夏である。灼熱地獄に焼かれた原爆の恐ろしさ悲惨さを思い出させる夏である。だからこの世界から戦争をなくしたいと切に思う夏でもある。

 だんだん「物言えば唇寒し」の時代に入りつつあるのをみんな感じているのではないだろうか。
メディアも大事なことをちゃんと伝えなくなっている。気が付いたら実に周りが大変なことになってしまっているということが、わたしたちの暮らしの中で起こっている。

 背筋を伸ばして、ちゃんと声を出して自己を表現することの大切さをますます実感している。

 声を出すことは、自分の尊厳を護ることであり、人の命を護ることにつながると言うことを是非しっかりと受け止めて、この夏もボイストレーニングに励んでいただきたいと思います。

 
2006.8.10初出

暑い季節には涼しげな声で

 雷鳴とどろき、スコールのような雨が30分ほど降り続いた後は、そんな雨など忘れたように強い日差しが戻ってくるという、東京地方は、まるで亜熱帯のような今年の梅雨です。
 コンクリートジャングルは、夜になってもまったく涼しくならず、窓を開ければ熱風が吹き込んでくるという悲惨な状態で、かえって風邪を引いている人が増えているようです。

 またこの蒸し暑さは身体を相当疲れさせますので、トレーニングもいつもより厳しく感じられるようです。汗をかいて気持ちがよいと言う人もいれば、汗をかくのがいやだと言う人もいて、冷房を入れようか入れるのをやめようかと、考えてしまいます。
 冷房を入れて締め切ってトレーニングをするよりも、窓を開けて風を通しながらのほうが、本当は気持ちがいいのですが、窓を開けると熱風が吹き込んでくる都会では思うようにはいきません。それでもこういう暑いときに身体を動かして声を出すとかえって身体が軽くなってストレスが吹き飛ぶのです。
 みんなふうふう言いながらもあー気持ちがよかったと言って帰っていきますので、トレーニングの効果はあがっていると思います。冷房の中でじっとして身体を硬くしているといつの間にか老化してきますのでご注意下さい。

 これからの夏の暑い季節には是非、暑苦しい声を出さないで、涼しげな声を使って会話をしていただきたいと思います。涼しげな声とはどんな声か?周りの声を少し注意して聞いてみてください。あっこれだ!と思う声に出会ったら、その声を真似してみるとよいでしょう。

 身体の力を抜いて、おだやかな、ゆったりとした、静かな声を、すうっと透る声を、出していただけると、とても涼やかに聞こえるでしょう。是非トライしてみて下さい。

   
2006.7.17初出

立ち止まることを恐れずに

6月に入った。
東京地方の入梅も間近かだと気象庁は言っているが、5月の初旬から雨模様が続いている今年は、もうずうっと梅雨気分である。地球温暖化の影響は世界各地に現れており、多くの警鐘が鳴らされているが、大国といわれている国々は、又グローバル化した資本は、自らの欲望を抑えられず、抜本的な対策も取れず、生活も変えられず、事態はどんどん深刻化している。

自然災害への漠然とした不安は、人々をなかなかスローライフへと向かわせない。
情報は瞬時に世界を駆け巡り、24時間ひとを眠らせることが無い。エネルギーは消費され続け、人々は疲れ果て、自然は枯れてゆく。

生きるということは光と影のバランスの中に身をおくことだ。光の中にいれば人は幸せだと思うかもしれない。しかし光の中ばかりにいると、人はものが見えなくなる。息も浅くなり短くなってゆく。どんどんヒステリックになり、攻撃的になる。もちろん他人のことも考えられなくなる。私たちが生きている今という時の重さを、実感できなくなってしまうのだ。

影の中で憩い、ゆったりと深い息をすることが今の私たちには必要なのだ。暗い夜にじっとして動かないでいることも大切なことだ。立ち止まることを恐れてはいけない。ボーっとすることで脳は元気を取り戻す。
この梅雨の季節に、少しペースを落として、ゆったりとした暮らしをしてみてはどうだろう。

深い呼吸の無いところに本当の声はないのです。本当の声を見つけて、それを使って、自分自身を取り戻してください。

 
2006.6.8初出

樹々と一緒にのびあがって

風薫る5月。我が家のもみじも眩しいほどの新緑に輝いています。
若葉の季節は何だかドキドキするような躍動感がありますね!体の中から古いかすや、毒気を吐き出して、新鮮なさわやかな空気を一杯吸い込みましょう!

身体を浄化するには、適度な運動と、ここち良い会話が大切です。ここちよい声を出すことによって身も心もリフレッシュするのです。
若草萌える草原や、新緑につつまれた公園などで身体をのびのびと動かし、気持ちの良い声を出して談笑するのはとてもすばらしいことです。新鮮な生気が身体中をかけめぐり、細胞が生き生きとしてきます。

お友達と、家族と、恋人と、ご近所の人と、犬や猫と、大いに、おおらかに、語らい笑ってください。そうすればきっと、これからやってくる梅雨のうっとうしさも気にならなくなるでしょう。ちょとした体調不良もきっとどこかへ飛んでいってしまうでしょう。

この時期にじっと黙って閉じこもっていると、若い芽のエネルギーに負けて鬱になってしまうかもしれません。子どもも大人も、若者も年よりも、男性も女性も、みんな樹々と一緒にのびあがって、身体を天に伸ばしてください。きっと生気がみなぎってくること請け合いです。

 
2006.5.6初出

何気なくあいさつできること

 今年の桜はなかなか見ごたえがありましたね。
 満開になった桜がすぐには散らないで、雨や風に耐えて持ちこたえてくれたからだと思います。暖かい日が続かなかったのが幸いしました。本当に「禍福はあざなえる縄の如し」で、人々にとっていささか厳しい春の寒暖の差が、桜を長持ちさせ、その桜をめでる心が、寒暖の激しい気候を乗り越える力にもなっている、人々に生きる力を与えてくれているということを感じさせてくれました。
また散り残った桜も、なんとなく健気で、萌え出ずる若葉を待つやさしいお姉さんのようにみえました。

 日本中を桜の花で埋めるこの季節は、人々の心をもっとも穏やかにしてくれるはずなのですが、自然を観ず、自然を感ずることの少なくなってしまった現代の日本人は、身体も心もひしゃげてしまったのでしょうか。相変わらず心胆寒むからしめる事件や事故が後を絶ちません。
 今日も出勤途中でなんとも腹立たしいというか情けないという出来事にぶつかりました。
 (私はいつも苦言を呈したり、嘆いたりしてしまうのですがこれも年寄りの冷や水でしょうか。)

 またあのサンダルをカンカン鳴らして歩く季節になりました。若い女性の多くがミュールサンダルの音を響かせて駅の階段を上り下りします。あの音は頭に響いてトテモ苦しい騒音です。
履いている本人はあまり気にならないのでしょうか?人に苦痛を与えていることをまったくきづかないのでしょうか?それともすでにあの音を快感として受け入れているのでしょうか?一度聞いてみたいものだと思っていますがーー。

 そんなミュールを駅の階段を上っていた若い女性が引っ掛けて落としてしまいました。
後ろから上っていた若い男性がそれを拾って差し出しました。若い女性は黙ってそれを足で引っ掛けるようにして履き何も言わずに歩き出しました。私は二人は知り合いかと一瞬思いました。しかしその男性も黙ってスーと別の方向に歩いていってしまい、靴を拾ってもらった女性は、にこりともせず、頭も下げず、ありがとうとも言わず、ルイヴィトンのバッグを掛けた肩をゆすって、ひきずるようなミュールの音を響かせて去ってゆきました。

  私はあっけにとられました。なぜ「ありがとう」の一言がいえなかったのだろう?なぜちょっと頭を下げて感謝の気持ちを伝えることをしなかったのだろう?
これが今の日本の若者の心の硬さなのだろうか?いろんなことを考えさせられたと同時に、とても暗い気持ちになりました。

  私はいつも、(このコラムにも何度か書きましたが)咄嗟に声を出すことの大切さを説いています。これはわたしたちの命の営みであるとともに、コミュニケーションの基本であります。
物事を平和的に解決するために欠かせない力になるものです。何気なく、すっと気持ちよくあいさつできること、人の好意や善意をキャッチできる能力を養うことこそいま教育に(学校教育だけのことではありません)求められているのではないでしょうか。

 気持ちよくあいさつできることが自分にとっても人にとっても、生き生きとした人生を送る第一歩であることを是非わかっていただきたいと思います。
そのためにも、すっと声が出るようになるボイストレーニングは大切です。


2006.4.10初出
休講のお知らせ
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プロフィール

彩声

Author:彩声
宮崎絢子


株式会社 彩声
代表取締役社長

ボイスコンサルタント

元テレビ東京アナウンサー。
現役時代は報道番組の司会やプロデューサーとしても活躍。
定年退職後、ミヤザキ式ボイストレーニングを構築し、2000年に教室をオープン。
広く、声の重要性を伝えるために活動中。

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